2017年4月1日土曜日

エイプリルフール

シャワー上がりの駅前のビルが湯気の中から現れる
地下から吹くぬるい風を受けて
ガラスにまとわりついた雫が空気に溶けてゆく
灰色のカーテンが開かれ
ぬるい風が鼻から抜けて
肺の中は少し乾いた冷たい空気で満たされる

昨日まで黒い枝の先で揺らめいていた花びらは
アスファルトに張り付き
スニーカー  ハイヒール 革靴に踏まれる
明日にはもうビニールの中で砂利や雑草と一緒にされるんだろう
しっとりとした花びらは
もうレンズの中に閉じ込められていた

10通りの嘘を昨日用意した
論文のミスプリの裏紙に箇条書きにして
ポケットにしまっていた
みんなを驚かすような嘘が一つくらいあるんじゃないかと思っていた

けれどそんなものすら吹き飛ばすような、ものすごい嘘が
風に乗って花びらとともに目の前に現れた
そしてそれは一瞬で消え去って、
時間が経てば経つほど寒さで身体が震えるほどの嘘だった

この嘘こそアスファルトの上で踏みつけられ
ビニール袋に入れられて捨てられてしまえばいいのに

2017/03/21
霧の中のバスの中

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